M&A成功事例38選 大企業・中小企業・業界別|2020年版

今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例38選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。コロナ禍以降の最新M&A事例も紹介します。

目次
  1. M&A事例の動向【2020年最新版】
  2. 最新のM&A事例7選【2020年】
  3. シナジー効果が表れたM&A成功事例5選
  4. 日本国内の大型M&A事例5選
  5. 中小企業のM&A成功事例11選
  6. M&Aに失敗するパターンの特徴
  7. M&A失敗事例10選

M&A事例の動向【2020年最新版】

日本国内のM&A成約件数

日本で公表されているM&A成約件数は2004年に2,000件を超えた後、2017年に3,000件を超え、更に2019年には4,088件と急増しています。[1]

M&A市場の現状~コロナ禍の市場動向~

2020年の日本企業によるM&Aは、新型コロナウイルス感染症の影響により、4-5月は停滞したものの、6月以降徐々にこれまでと同じ水準にまで回復しています。[2]コロナ禍の企業経営は更なる合理化や資金調達、新たな市場に合わせた事業の変化が必要な局面にあります。買収企業はDXをはじめとした新規事業への迅速な投資や、規模の拡大とシナジー効果を求めてM&Aに投資し、売却企業は差し迫った資金調達の必要性によってM&Aを模索しています。

事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」では利用企業を対象に「M&Aに関するアンケート」を行いました。その結果、9割以上の企業が今後M&A市場が「活性化する」と回答しています。2020年1~5月の譲渡希望企業の新規登録者数は前年同期比4.3倍となり、M&A市場活性化の傾向が見られます。業界再編や企業のDXが進む中で、今後益々M&Aを活用した企業統合が加速すると考えられます。

最新のM&A事例7選【2020年】

それでは、2020年に入って行われた日本企業による最新のM&A事例を見ていきます。

【小売】セブン&アイ・ホールディングスの米スピードウェイ買収

譲渡企業の概要

スピードウェイは、米国オハイオ州に本社を構える小売業です。コンビニエンスストア事業と燃料小売り事業の運営をしています。

譲受企業の概要

セブン&アイ・ホールディングスは、日本のコンビニ業界では最大手です。セブン&アイは弁当やおにぎり、パンや「中食」と呼ばれる惣菜やおかずを、オリジナルブランドとして自社で開発するなど、独自の商品力に特徴をもっています。

M&Aの目的・背景

セブン&アイ・ホールディングスは、日本のコンビニ市場が飽和状態にあるなかで、成長を海外に求め、北米市場でコンビニ事業の拡大を目指しています。セブン&アイ傘下のセブン-イレブンは、全米で約9,800店舗を運営しており、業界最大手となっています。

M&A手法・成約

セブン&アイ子会社の米国法人が、スピードウェイの発行済み株式を取得しています。取得価額は約2兆2176億円です。

【電力

】三菱商事と中部電力、オランダEneco社を買収

譲渡企業の概要

Enecoは、オランダ、ベルギー、ドイツの3ヵ国を中心に、再生可能エネルギーを中核とした発電、電力・ガストレーディング、電力・ガス小売り、地域熱供給の各事業を展開しています。

顧客ベースの規模はオランダで2位のポジションにあります。約120万kWの再エネ資産を保有しています。2007年に他社に先駆けて再エネ開発を開始、11年からは消費者向けに100%グリーン電力を供給しています。

譲り受け企業の概要

三菱商事は日本トップクラスの規模と収益力を誇る総合商社です。近年はグループの商材やサービスを組み合わせることで、エネルギーマネジメント関連のサービスを充実させています。

中部電力は、商圏とする中部地区以外にも関西や関東などに進出し、海外展開にも乗り出しています。

M&Aの目的・背景

三菱商事とEnecoは、2012年から3件の欧州洋上風力発電事業(123万kW)で欧州最大規模の蓄電事業(5万kW)で協業してきました。三菱商事と中部電力によるエネコ買収は、欧州での再エネネルギー事業拡大を狙ったものです。

M&A手法・成約

今後、ロッテルダム市等の既存株主及びEneco内での手続きを経て、株式売買契約を締結した後、三菱商事と中部電力が共同で設立した新会社(Diamond Chubu Europe B.V.)を通じて、最大100%の株式を41億ユーロ(約5千億円)で買収しました。[3]

【航空機器】米ベインキャピタル、昭和飛行機工業へのTOB成立

譲渡企業の概要

生活支援機器の製造・販売、航空機機装品及び軽合金構造物の製造・販売、ハニカム及びその加工品の製造・販売、汎用コンテナ、輸送支援機材全般を手がけています。

譲り受け企業の概要

ベインキャピタルはプライベートエクイティ(PE)、ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、債券運用などを手がける米国の投資会社です。1984年の設立以来、ベインキャピタルは750億ドルの資産を運用してきています。1984年米国本社設立で、2006年に日本事務所を開設しました。

M&Aの目的・背景

ベインキャピタルによる昭和飛行機工業の買収は、昭和飛行機工業の非公開化を目的としています。筆頭株主が昭和飛行機工業に対し、経営管理ノウハウの提供や新たな成長に向けた支援を行うことで、企業価値の向上を目指すとしています。

M&A手法・成約

ベインキャピタル系のケイマン籍の会社が、昭和飛行機工業に株式公開買い付け(TOB)を実施しました。昭和飛行機はTOBに賛同意見を表明し、49.80%を保有する親会社の三井E&SホールディングスはTOBに応募し、昭和飛行機株を売却しました。[4]

【衛生】大王製紙、丸紅がブラジル衛生用品大手Santherを子会社化

譲渡企業の概要

Santherは、ブラジルで機能性フィルム、粘着シート及び粘着剤等合成樹脂材料の製造・加工および販売を手がけています。

譲り受け企業の概要

大王製紙は、1943年の設立の総合製紙メーカーです。1979年以降はティッシュの「エリエール」をはじめ、乳幼児用紙おむつ「GOO.N」などのブランドを育ててきました。

M&Aの目的・背景

大王製紙は海外展開で、M&Aを成長手段の一つととらえており、衛生用の紙製品に対する需要増加が期待されるブラジル市場への進出を決めました。大王製紙はブラジルへの進出を足がかりとして、南米全域への事業展開も視野に入れているといいます。

M&A手法・成約

大王が51%、丸紅グループが49%をそれぞれ出資するブラジルの現地法人(合弁会社)が、Santher全株式を取得します。[5]

【小売】ニトリホールディングスによる島忠へのTOB

譲渡企業の概要

島忠は中堅のホームセンターです。家具・インテリア雑貨(カーテン・カーペット・インテリア小物など)や、ホームセンター商品を扱う小売店を展開しています。60店舗(2020年8月末現在)を展開しています。

譲り受け企業の概要

家具・インテリア用品の製造・販売国内外に計607店舗を有し、製造から物流、販売まで全て自社でてがけています。

M&Aの目的・背景

島忠をめぐっては、同業大手で「ホーマック」などを展開するDCMホールディングスがTOBを実施中でした。その後、DCMとニトリとの間で争奪戦となり、島忠はいったん同意していたDCMによるTOBへの同意を取り下げ、ニトリのTOBに応じることとしました。TOBの実施は2021年1月を予定しています。

M&A手法・成約

ニトリは2021年1月に、1株5500円で島忠株のTOBを開始する予定です。ニトリは島忠のTOB成立後に、完全子会社化を目指します。[6]

【電機機器】シャープがNECディスプレイソリューションズ買収

譲渡企業の概要

NECディスプレイソリューションズは、日本電気(NEC)の子会社です。液晶ディスプレイ、ビジネスプロジェクターなどの製品や関連サービスを世界で展開しています。

譲り受け企業の概要

電気通信機器や電気機器、電子部品の製造・販売を主体とする電機メーカーです。現在は台湾資本の傘下に入り、連結売上高は2兆2,712億円(2020年3月期)、連結従業員数は51,402名(2020年9月末現在)です。

M&Aの目的・背景

国内市場に強いシャープと、欧米事業を中心としたNECディスプレイソリューションズが同じグループとなることで、グローバル展開で相互補完関係が見込めることから、M&Aに踏み切りました。

M&A手法・成約

シャープはNECディスプレイソリューションズの株式を66%取得し、子会社とします。NECは引き続き、NECディスプレイソリューションズの株主としてとどまります。シャープとNECは、NECディスプレイソリューションズを合弁会社として共同運営することで合意しました。[7]

【電子マネー】メルカリ子会社による買収

譲渡企業の概要

Origamiは2012年に会社を設立し、2016年にスマホ決済サービス「Origami Pay」の提供を開始、同サービスは、全国の様々な業種、業態の店舗やサービスに導入。また、2018年9月には全国256の信用金庫の中央金融機関である信金中央金庫と資本・業務提携しています。

譲り受け企業の概要

メルペイは、メルカリの100%子会社として、2019年2月にスマホ決済サービス「メルペイ」の提供を始めました。2019年4月に「メルカリ」での利用実績などを基に、商品購入代金を翌月にまとめて支払える「メルペイスマート払い」にも対応しています。

M&Aの目的・背景

M&Aの狙いはメルペイとメルカリ、Origami、信金中金の4社共同で、地域の中小事業者への「メルペイ」導入の推進していくことです。

M&A手法・成約

2020年1月、メルカリの子会社でスマホ決済サービス提供のメルペイが、Origamiの株式を取得して子会社化することを発表した。

 

[1] グラフで見るM&A動向(MARR Online)
[2] M&A市場はコロナ危機から徐々に回復~BCG調査(BCG)
[3] オランダ総合エネルギー事業会社Eneco社の売却入札における優先交渉権獲得(三菱商事)
[4] 昭和飛行機工業のプレスリリース
[5] ブラジルにおける衛生用品メーカーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
[6] 株式会社島忠の株券等に対する公開買付けの開始及び同社との間の経営統合契約の締結に関するお知らせ(株式会社ニトリホールディングス)
[7] 株式取得によるNECディスプレイソリューションズ株式会社の子会社化(合弁会社化)に関するお知らせ(シャープ株式会社)

シナジー効果が表れたM&A成功事例5選

【旅行EC】楽天によるマイトリップ・ネットの買収

譲渡企業の概要

譲渡企業のマイトリップ・ネットは、国内最大のインターネット宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営していました。

譲受企業の概要

楽天はEコマース(電子商取引)、トラベル、デジタルコンテンツなどのインターネットサービス、クレジットカードや銀行・証券・電子マネー・スマホアプリ決済などのフィンテック(金融)サービス、携帯キャリア事業といったモバイルサービス、プロスポーツなどさまざまな分野で70を超えるサービスを展開しています。

M&Aの目的・背景

楽天は株式上場によって、社会的な信用力や資金調達力を得ました。楽天は上場直後から、M&Aを活用した規模拡大を積極化しています。楽天は国内旅行において、JTBグループに次ぐ2位の取引高に成長させました。自社サイト「楽天トラベル」の強化が狙いでした。

M&A手法・成約

2003年9月に、楽天は国内最大のインターネット宿泊予約サイト「旅の窓口」を運営するマイトリップ・ネットを323億円で、株式買収により子会社化しました。[8]

【製薬】大正製薬によるドクタープログラム買収

譲渡企業の概要

ドクタープログラムは、通信販売による化粧品会社でした。ドクタープログラムは機能性基礎化粧品「トリニティーライン」を中心としたスキンケア領域を主力としていました。

譲受企業の概要

大正製薬は一般用医薬品(OTC)で国内トップクラスの製薬会社で、品揃えや販売網の拡大が経営課題でした。

M&Aの目的・背景

大正製薬は、セルフメディケーション領域の事業強化のため、通信販売事業を拡充する必要がありました。ドクタープログラムの商品開発ノウハウや販路を活用することで、事業規模の拡大を図ることができました。

M&A手法・成約

武田薬品工業は、ドクタープログラムの親会社であったキョーリン製薬ホールディングスから、ドクラープログラムの株式を買い取りました。[9]

【医療機器】村田製作所がヴァイオス・メディカル買収

譲渡企業の概要

ヴァイオス・メディカルは米国の医療機器メーカーベンチャーです。ヴァイオス・メディカルは心拍数、呼吸数、心電図等を計測できるチェストセンサの開発や、計測機器に関わるソフトウェアやクラウドサービスなども展開しています。

心拍数、呼吸数、心電図等を計測できるチェストセンサの開発と、それらをモニタリングするためのソフトウェア、クラウドサービス等を開発・提供しているヘルスケア IT 分野のベンチャー企業です。

譲り受け企業の概要

村田製作所は、セラミックスを基とした電子部品の開発・生産・販売を手がける総合電子部品メーカーです。材料開発やプロセス開発、商品設計、生産技術及び関連するソフトウェア開発も行っています。

M&Aの目的・背景

村田製作所は、市況の変化が激しい電子部品を主力製品としています。収益が安定しているヴァイオス・メディカルの買収により、村田製作所はグループ全体の収益を下支えする効果を見込んでいました。

M&A手法・成約

村田製作所は2017年に、現地の子会社を通じた三角合併という手法により、ヴァイオス・メディカルの株式を取得し、完全子会社としました。買収費用は114億円です。[10]

【食品会社】味の素によるトルコ食品会社の買収

2つ目に紹介するM&A成功事例は、味の素が近年に行った買収です。味の素は、トルコにある2社の食品会社を買収しており、合計3つの会社を統合しています。

譲渡企業の概要

譲渡企業は2社あります。一つはキュクレ食品という会社で、トルコで液体調味料やピクルスなどの製造・販売を行っています。もう一社がオルゲン食品社で、粉末調味料・粉末スープ・デザートなど加工食品の製造・販売を手がけています。

譲り受け企業の概要

譲り受け企業は、味の素です。「味の素」に代表される調味料や、インスタント食品・飲料・健康食品などを製造・販売する、日本の大手食品メーカーです。味の素は海外にも展開しており、事業所は約35カ国・地域におよびます。

M&Aの目的・背景

味の素は海外展開において、東南アジアなどで存在感を示しています。トルコはアジアやと欧州の間に位置し、中東とも隣接するため、商品開発や販路の拡大にも役立っています。

M&A手法・成約

味の素の100%子会社である、トルコのイスタンブール味の素食品販売とキュクレ食品、オルゲン食品を統合しました。[11]

【食品】加ト吉(現テーブルマーク)がマイトリップ・ネット買収

譲渡企業の概要

サンジェルマンは「サンジェルマン」ブランドのパン屋を展開する、ベーカリー事業が主力の会社です。2002年5月に、日本たばこ産業(JT)がサンジェルマンの全株式を取得し、JTの100%子会社となりました。

譲り受け企業の概要

テーブルマークは、冷凍食品やその他食料品の製造・販売お手がける国内大手冷凍食品メーカーです。これまでに冷凍ハンバーグや冷凍エビフライ、冷凍さぬきうどんなどの画期的商品や、ヒット商品を多く生み出してきたことでも知られます。

M&Aの目的・背景

JTは、グループ会社で中国製冷凍餃子の中毒事件が起きたことがきっかけとなり、グループの加工食品事業・調味料事業を旧加ト吉(現テーブルマーク)に移管しました。その延長線上として、加ト吉がサンジェルマンを傘下に収めました。

M&A手法・成約

加ト吉(現テーブルマーク)が、テーブルマークのJTグループ全株式を取得し、2008年7月に加ト吉(現テーブルマーク)の100%子会社となりました。[12]

 

[8] 100%子会社 楽天トラベルとマイトリップ・ネットの合併について(楽天株式会社)
[9] キョーリン製薬ホールディングス株式会社の連結子会社である ドクタープログラム株式会社の株式取得に関するお知らせ
[10] Vios Medical, Inc.の買収完了について(株式会社村田製作所)
[11] 味の素(株)トルコおよび中東における海外コンシューマー食品事業を拡大(味の素株式会社
[12] 日本たばこ産業株式会社の食品事業部門との事業統合について(カトキチ)

日本国内の大型M&A事例5選

【通信】ソフトバンクによる日本テレコム買収

譲渡企業の概要

日本テレコムは、1984年に設立された固定通信事業者です。のちにインターネットサービスプロバイダー事業も手がけました。

譲り受け企業の概要

ソフトバンクグループは、携帯電話事業などを手がける子会社を持つ持ち株会社です。子会社数は1,475社(2020年3月末現在)に上り、関連会社は455社(同)あります。

M&Aの目的・背景

その目的は、日本テレコムのODNユーザーをスムーズにYahoo!BBに移行し、ネットワークへの投資を抑えることでコスト削減を図ることでした。

M&A手法・成約

ソフトバンクは2004年、米国の投資会社リップルウッド・ホールディングス傘下にあった日本テレコムを買収しました。ソフトバンクが買収した日本テレコムの営業強化やコスト削減などを進め、買収からわずかから3年ほどで、経営を立て直し、グループの収益力にも寄与するようになりました。[13]

【EC】ヤフーがZOZOを買収

譲渡企業の概要

ZOZOはファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する会社です。国内ファッションECサイトでは圧倒的なシェアを誇っています。

譲り受け企業の概要

Zホールディングスは、ヤフーを傘下に持つ持ち株会社です。2019年10月1日に持株会社体制に移行し、商号を「ヤフー株式会社」から「Zホールディングス株式会社」に変更しました。

M&Aの目的・背景

Zホールディングス傘下のヤフーは、「PayPayモール」というネット上の電子ショッピングモールを運営しています。ZOZOTOWNをPayPayモール出店させることで、集客力を高める狙いがありました。Zホールディングスグループのモバイル決済サービス「PayPay」を、ZOZOTOWNに導入する計画もあると新聞報道等で伝えられています。

M&A手法・成約

Zホールディングス(HD)は約4007億円をかけて、TOB(株式公開買付け)によりZOZOの発行済み株式を取得。今年11月14日にZOZOの買収が完了したことを発表しました。ZホールディングスによるZOZO株式の保有比率は、50.1%(議決権ベース)となりました。[14]

【たばこ】JTによるRJRI買収

譲渡企業の概要

譲渡企業は、米国のたばこメーカーのRJRIです。日本たばこ産業(JT)が買収をしようとした当時、世界最大のたばこメーカーでした。

譲り受け企業の概要

JTは主力のたばこ事業のほか、医薬事業、食品事業を手がけ、連結 従業員数は61,975人(2019年12月31日現在)となっています。

M&Aの目的・背景

JTはRJRIの買収当時、海外におけるたばこの販本数を1,000億本にする目標を掲げていました。消費者の健康志向やたばこにかかる税金の引き上げなどもあり、JTの販売本数が伸び悩んでいました。JTは今後も成長を続けていくためには、大型の企業買収が必要と判断し、海外に活路を求めました。

M&A手法・成約

JTはRJRIをクロスボーダー(国境を越えた)取引として、約9,400億円で買収し、従来比約10倍となるたばこ販売本数を得ることができました。[15]

【製薬】富士フイルムホールディングスによる富山化学の買収

譲渡企業の概要

富山化学は研究開発型の製薬企業で、抗ウイルス薬などで世界的な実績を残しています。

譲り受け企業の概要

富士フイルムは従来の写真技術を生かした診断領域から、予防や治療からへ事業領域を拡大する目的で本案件を実施しました

M&Aの目的・背景

富士フィルムは2000年以降、7000億円弱規模のM&Aを実施してきました。写真関連事業のリストラクチャリング(事業構造改革)にのりだし選択と集中を進る一方で、近年は医療分野でM&Aを積極化していました。

M&A手法・成約

2008年3月に富山化学を株式公開買い付け(TOB)により連結子会社化しました。[16]

【飲料メーカー】アサヒグループホールディングスが豪州ビール事業を買収

譲渡企業の概要

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー、ABI)は、ビール世界最大手です。ABIの子会社であるCUBが譲渡対象となりました。CUBはトップブランド「カールトン」を中心に、幅広い品揃えをもちます。

譲り受け企業の概要

アサヒグループホールディングスは、アサヒビールなどを中核とする飲料メーカーです。アサヒグループホールディングスは2016年以降、海外で相次ぎM&Aを加速してきました。

M&Aの目的・背景

アサヒグループホールディングスは、「Great Northern」をはじめとする有力ブランドの取得により、日本、欧州、豪州の3極を核としたグローバルな事業基盤を築くとしています。また、買収によるブランド力やマーケティング力の強化も見込んでいます。

M&A手法・成約

アサヒグループホールディングスはビール世界最大手のから豪州の全事業を160億豪ドル(約1兆2096億円)で買収することで合意した。買収対象はABIの子会社であるカールトン&ユナイテッドブリュワリーズ(CUB)を中心とするビール・サイダーに関連する全事業となります。[17]

 

[13] 日本テレコムの買収について(ソフトバンク株式会社)
[14] 当社子会社(Zホールディングス株式会社)による株式会社ZOZO株式に対する公開買付けの結果及び子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ(ソフトバンク株式会社)
[15] JTグループの歴史(JT
[16] 富士フイルムグループ の成長戦略(富士フィルムホールディングス株式会社)
[17] アサヒグループホールディングスのプレスリリース(アサヒグループホールディングス株式会社

中小企業のM&A成功事例11選

これまで大企業のM&Aを取り上げてきましたが、ここからは、中小企業の事例もご紹介します。

【Webサイト】IT情報系ウェブサイトの事業譲渡

譲渡企業の概要

株式会社Choiseeは、ガジェット・IT系ツールのレビューメディアの運営をしていた、宮城県にある会社です。

譲り受け企業の概要

大阪のWeb関連会社は、Webサイト制作、オウンドメディア制作・運営、システム開発などを手がけていました。譲り受け企業Web関連会社は運営メディアを増やすことで、事業の拡大を目指していました。

M&Aの目的・背景

メディア運営をオーナー経営者が一人で手がけていたため、個人でメディアの更新などに対応することが難しくなり、事業譲渡を検討していました。オーナーは自分で買い手企業を探せるプラットフォームを探し、M&Aマッチングサイトに登録しました。

M&A手法・成約

譲り受け企業となったWeb関連会社は、複数メディアを運営しているところが、オーナーの希望にかない、事業の譲渡金額もオーナーが納得いくものだったことから、事業譲渡が成立しました。

成功事例
【M&A事例】1人で運営していたIT系情報サイトの売却益を、新規事業の準備資金に。交渉から契約までリモートで完結

宮城県仙台市に拠点を置く、株式会社Choisee。2016年から運営していたIT系コンテンツを配信するオウンドメディアをリモート交渉で大阪の企業に売却し、現在はホームページ制作やWeb集客コンサルティングなどの新規事業に […]

【Webサービス】CtoCプラットフォーム「TORIP」の事業譲渡

譲渡企業の概要

株式会社LIGは東京・上野のWeb制作会社で、サイト制作や自社メディアやコンテンツの制作、地方創生事業、シェアオフィス、英会話スクールなど多様な事業を展開しています。

譲り受け企業の概要

埼玉県のIT企業です。

M&Aの目的・背景

LIGは事業者や個人と、旅行者をマッチングするCtoC(個人間)プラットフォーム「TRIP」を運営していました。全国各地の遊びや観光商品を売買できるサービスでしたが、事業を伸ばす担当者が不在であったため、事業売却の道を選びました。

M&A手法・成約

事業譲渡です。LIGは、M&Aマッチングサイトを介して、譲渡の候補先となった埼玉県のIT企業に事業を譲渡しました。売却にあたり、LIGのCTOが一定期間、サービスの運営を支援するコンサルティング契約を締結。LIGによる保守運用の提案も、譲り受け企業が受け入れました。

成功事例
【M&A事例】すぐ譲渡を考えていない企業も“活用しない理由は無い”。ビズリーチ・サクシードで事業の価値を把握し、譲渡に成功。

Webサイト制作をはじめ、自社メディアやコンテンツ制作、地方創生事業、シェアオフィス、英会話スクールなど多角的な事業展開をしている株式会社LIG。 今回、そのなかでアクティビティ(観光商品等)を売買するCtoCサービスを […]

【飲食】ハワイアンカフェの店舗引き継ぎ

譲渡企業の概要

千葉県にあるハワイアンカフェ2店舗を運営する企業です。本業はアパレルで、事業ポートフォリオを見直し、選択と集中をするために店舗を引き継いでくれる企業を探していました。

譲り受け企業の概要

オークニ商事は、コンサルティング会社として設立された企業です。現在は、飲食店や福祉介護施設などを、全国193拠点で展開しています。

M&Aの目的・背景

オークニ商事は売り上げの拡大を目指しており、自前で新たに事業を立ち上げるのではなく、自社にはないブランドを持っている企業を買収候補先として、求めていました。

M&A手法・成約

事業譲渡です。オークニ商事にとって、譲り受け企業を探す期間は2ヶ月程度しかありませんでした。すぐにM&Aマッチングサイトに掲載すると、翌日にはメッセージが届いたというのが今回の経緯です。

成功事例
【M&A事例】撤退を考えていた大型ショッピングモールに入る飲食店をM&A。未来の可能性を手に入れる

2009年にコンサルティング会社として設立し、2010年からは飲食店や福祉介護施設など、全国に193拠点を展開しているオークニ商事。今回は、千葉県と静岡県にあるハワイアンカフェ2店舗を、TSA Partners株式会社の […]

【物流・運送】オーナー系運送業の事業承継

譲渡企業の概要

有限会社東航は、1984年創業の運送業で、輸出入貨物、産業廃棄物の処理、事務所の移転、引越を主力としていました。東航の経営は創業者である先代から、二代目社長に引き継がれ、無借金経営を続けてきました。

譲り受け企業の概要

TRUTH LOGISTICS株式会社は、海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開する企業で、M&Aによる事業拡大を目指していました。

M&Aの目的・背景

東航の2代目社長は、70歳を目前に控えており、後継者がいませんでした。このため2代目社長は従業員の雇用や取引先との関係を維持するために、会社の譲渡を検討。東航はM&Aマッチングサイトに登録したところ、買収先を探していたTRUTH LOGISTICSとマッチングが成立しました。

M&A手法・成約

株式譲渡です。TRUTH LOGISTICSが東航の株式を買い取る形で、M&Aが成立しました。

成功事例
【M&A事例】この“ご縁”は偶然か必然か。インターネットが繋いだ運命的なM&Aとは

海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開するTRUTH LOGISTICSの代表・青山誠公氏は、より事業を成長させるためにM&Aを検討し、ビズリーチ・サクシードに登録。そこで出会ったのは、陸路での運送業を営む有限 […]

【金属】金属プレス加工メーカーによる同業の買収

譲渡企業の概要

アポロ工業は埼玉県の金属プレス加工メーカーで、プレス金型に関する高い技術力をもつ高付加価値企業でした。

譲り受け企業の概要

新栄工業は、千葉県で事業を営む金属プレス加工メーカーです。

M&Aの目的・背景

新栄工業は事業のさらなる成長を目指し、M&Aを検討しており、M&Aマッチングサイトに登録しました。70代のアポロ工業の社長は、高齢を理由に引退を検討していましたが、後継者不在のため、第三者に会社を譲渡することを考えていました。

M&A手法・成約

株式譲渡です。新栄工業によるアポロ工業のM&Aにより、アポロ工業は新栄工業の傘下に入りました。アポロ工業の看板や工場や従業員は引き継ぎ、取引先から信頼を寄せられていた「アポロ工業」という看板も残しました。

成功事例
【M&A事例】廃業検討から一転、事業シナジーを生む金属プレス加工メーカー同士の出会い

千葉県で金属プレス加工メーカーを営む新栄工業の代表の中村新一氏は、より事業を成長させるためにM&Aを検討し、ビズリーチ・サクシードに登録。そこで出会ったのが同業のアポロ工業。アポロ工業の代表は70代になり、引退を考えてい […]

【工業メーカー】ホース加工販売オーナー企業の事業承継

譲渡企業の概要

株式会社立山高圧工業は、ホースと継手の加工販売を手がけるオーナー企業でした。先代は70歳を超え、ホースや継手を収集していた職人気質の方でした。

譲り受け企業の概要

日本ニューマチック工業株式会社は、年商が100億円を超えていました。譲渡企業の立山高圧工業と事業内容が近い会社でした。

M&Aの目的・背景

立山高圧工業の創業社長は事業承継として、親族外によるM&Aを希望していました。買収に名乗りを挙げた譲り受け企業の日本ニューマチック工業は、ホースと継手の加工販売に対する理解がありました。

M&A手法・成約

株式譲渡です。M&A仲介会社のインテグループが、譲渡企業である立山高圧工業と譲り受け企業の日本ニューマチック工業との間に入りました。インテグループは、株式譲渡後の経営戦略や譲渡価格などの条件について調整をして、M&Aが完了しました。

成功事例
【M&A事例】「親族ではなく、第三者へ会社を譲渡 社長がM&Aを選んだ理由」

経営者の思いを繋ぐ職人たち 皆様、こんにちは。M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」が2017年11月にリリースし、早いものであっという間に1年がたちました。 今回は「ビズリーチ・サクシード」上で初成約 […]

【建設】建設関連業者の事業部門切り出し

譲渡企業の概要

A社は、静岡県内で長い業歴を誇る建設関連業者です。代表者は高齢でしたが、取引先からの信頼も得ていて業績は堅調でした。

譲り受け企業の概要

B社は建設関連事業を営んでいました。周辺領域への事業拡大を図る中期経営計画も策定していましたが、人材やノウハウが不足していました。

M&Aの目的・背景

A社は当初、廃業を決意し静岡県事業引継ぎ支援センターに相談しました。ところが、同支援センターは、A社に対し他社への事業引継ぎを提案したところ、A社の代表者が同意しました。一方のB社は、M&Aによる事業拡大を目指していました。

M&A手法・成約

事業譲渡です。静岡県事業引継ぎ支援センターは、取引金融機関と連携し、B社に対してA社のM&Aを提案。最終的に、B社がA社の建設業に関わる部門だけを対象に、事業を譲り受けることで決着しました。[18]

[18] 静岡県事業引継ぎ支援センター(静岡商工会議所)

【事務機器】事務機器製造メーカーの営業権譲渡

譲渡企業の概要

A社は年商4億円の事務機器製造業で、業績不振におちいっていました。

譲り受け企業の概要

B社は年商13億円の事務機器製造業で、A社とは同業で、事業拡大を目指していました。

M&Aの目的・背景

A社は赤字体質であったため、債務超過になってしまう恐れもあったため、大口取引先から同業のB社への会社売却を勧められました。

M&A手法・成約

事業譲渡です。B社はA社の財務状況が良くないと判断したため、B社からの株式譲渡には関心がありませんでした。このため、A社はB社の土地と設備だけを買い取るという、営業権の譲渡が行われました。A社は、B社から受け取った営業譲渡の代金で、会社を精算し、負債を処理しました。[19]

[19] M&A事例集(東京商工リサーチ)

【電話工事】小さな内線電話工事会社を企業組合で引き継ぐ

譲渡企業の概要

新潟県にあった有限会社大基通信システムは、小さな内線電話工事会社でした。大基通信システムの人員は社長とその妻、従業員1名でした。

譲り受け企業の概要

シルバー人材を活用するための企業組合です。

M&Aの目的・背景

大基通信システムの社長が急逝したことにより、妻と従業員が二人で事業の継続することを決めましが、顧客離れが進んだため、売り上げは三分の一まで急減しました。事業の引き継ぎ手も見つかりませんでした。

M&A手法・成約

事業譲渡です。M&Aとは異なり、企業組合を結成し、電信関連の地元中堅企業がスポンサーになる枠組みにより、事業を引き継いだ。相談から半年で、企業組合を結成し事業の引き継ぎを終わらせた。[20]

[20] 事業引継ぎ支援事例(中小機構)

【物流・運送】運送業者の異業種による株式譲渡事例

譲渡企業の概要

A社は年商3億円の運送業で、トラックを約20台保有していました。精密機器の輸送にも対応できる会社でしたが、売り上げが落ち込み赤字決算で、資金繰りが厳しい状況にありました。

譲り受け企業の概要

B社は、通信・電子機器製造業を営む年商15億円の企業です。

M&Aの目的・背景

A社は実質債務超過という財務状況でした。一方で、B社は自社で製造する精密機器の運送を委託していた業者に不満を抱いていたため、製品の輸送を自前で行うことを検討しており、精密機器が輸送できる運送業者のM&Aを検討していました。

M&A手法・成約

株式譲渡です。B社はA社の財務リスクを引き受ける形で、取引が成立しました。A社社員の従業員は、B社が全員引き継ぎました。異業種間のM&Aとして、B社からA社への100%株式譲渡として行われました。[18]

[21] M&A事例集(東京商工リサーチ)

【図書館】図書館業務の総合プロデュース企業の資本提携による事業承継

譲渡企業の概要

株式会社リブネット(従業員30名、資本金1億円)は、三重県伊勢市にある図書館業務の総合プロデュース企業です。図書館委託業務やソフトウェア開発販売、コンサルティングなどの事業を手がけていました。

譲り受け企業の概要

東電通(現株式会社ミライト)は、電気通信工事業者の大手です。組織再編により(株)ミライトとなりました。

M&Aの目的・背景

リブネットは、システム開発への投資がかさんだため、資本増強の必要がありました。そこで、リブネットの社長は、東電通の社長(当時)にリブネットへの出資を仰ぎました。

M&A手法・成約

株式譲渡です。ミライトが、投資ファンドら外部投資家が保有するリブネットの株式を取得し、資本提携するに至りました。[22]

[22] 事業の承継(中小企業白書2017年版)

M&Aに失敗するパターンの特徴

期待した売上にならない

M&Aが失敗するパターンで真っ先に挙げられるのが、買収先企業の売り上げ見込みといった事業計画が、買収当初見込んでいた予想を大きく下回ったり、収益が赤字になったりすることです。競争環境の変化や市況悪化などの外部環境によって、想定が外れるケースです。

海外でトラブルが発生する

次に、海外企業や本業以外の事業分野の会社を買収する場合のリサーチ不足や、見込みの甘さです。特に中南米や中東といった政情が不安定な地域では、政変や地域紛争といった経済要因以外のリスク要因が致命的な結果を招きかねません

さらに、近年、脱炭素化が叫ばれるように、世界的な経営の潮流に乗り遅れた投資をすることもリスク要因となります。もし、海外で石炭火力発電を主力とする会社を買収した後に、石炭火力発電所の新規建設を認められなくなったら、買収効果がマイナスになる恐れもあるのです。

M&A後に人材が流出する

見落とされがちなM&Aの落とし穴としては、買収先の従業員がまともに働かなかったり、待遇の良いライバル企業に引き抜かれたりすることで、製品やサービスの質が保てなくなり、収益が悪化することです。人的リスクも事前によくリサーチする必要がありそうです。

M&A失敗事例10選

それでは次に、M&Aの結果として損失が出てしまったり、当初の目論見どおりとならなかった事例を紹介します。

東芝は米国の原発大手買収で損失

2006年に東芝は、アメリカの原発大手ウェスチングハウス(WH)を買収しました。ところが2011年に起きた東日本大震災を機に、原発事業に世界的な逆風が吹きました。

世界で原発の新増設に急ブレーキがかかり、WHの業績が急激に悪化。東芝は3,300億円というのれん代を計上していたため、2,600億円もの減損損失が発生しました。天災などにより外部環境が急激に変化することで、事業買収の目論見が外れるリスクがあることが分かる結果となりました。。

丸紅、ブラジル社の買収が誤算に

日本の総合商社である丸紅は、成長戦略の一環として、2012年にアメリカの穀物大手ガビロンを約2,880億円買収しました。当時の買収金額は、

丸紅は米国から中国市場への大量輸出を当て込んでいましたが、中国政府がガビロンによる寡占化を嫌い、中国への輸出が見込み通り増えませんでした。結果的に丸紅は、ガビロン買収にかかったのれん代約500億円を損失として計上することになってしまいました。

キリンはブラジルで苦戦

キリンホールディングスも海外企業のM&Aで苦戦しています。キリンホールディングスは2011年、ブラジルのビール大手のスキンカリオール約3,000億円で買収しました。キリンがスキンカリオールを買収した直後にブラジルの景気が悪化したため、2015年に減損損失1,100億円を計上ました。キリンは217年、オランダのハイネケンにスキンカリオールを約770億円で売却しました。

NTTコミュニケーションズも米国で減損

NTTコミュニケーションズは、念願の米国進出を果たしましたが、それがあだになってしましました。NTTコミュニケーションズは、約6,000億円を投じ、インターネットサービスプロバイダ(ISP)とホスティングサーバ提供事業を行うベリオを2000年に買収しました。

ベリオの業績はNTTコミュニケーションズによる買収後も低迷。そして、買収から翌年の2001年9月の中間期決算において、NTTコミュニケーションズはベリオについて5,000億円の減損損失を計上することを余儀なくされました。

第一三共はインド社買収で減損

第一三共は2008年、インド最大の後発医薬品(ジェネリック)会社であるランバクシー・ラボラトリーズを約4800億円で買収しました。しかし、インド国内の工場での品質管理問題が起きたことによって、業績が急速に悪化しました。

品質問題を受けて、米国政府がランバクシー・ラボラトリーズ製のジェネリック医薬品の輸入を停止したのです。第一三共は2015年,ランバクシー・ラボラトリーズをインドの同業大手に売却することになり、ランバクシー・ラボラトリーズに関する減損処理も発生しました。

ペーパーレス化の波を受けたリコー

コピー機で知られるリコーは、世の中のペーパーレス化が進み、買収した米国で相次ぎ減損損失を計上する事になりました。オフィスで紙を印刷する需要が、米国では急速に落ちていたからです。一つは2008年に買収した、米国の大手事務機ディーラーのアイコンオフィスソリューションズに関する1400億円の減損損失です。もう一つは2014年に買収した国のITサービス企業のマインドシフトに関する減損損失は400億円でした。

資生堂は米国の自然派化粧品で損失

資生堂は2010年に米国のベアエッセンシャルを約1800億円で買収しました。ベアエッセンシャルは、テレビショッピングを中心として自然派化粧品を販売していましたが、予想通りに業績が推移しなかったため、資生堂は2013年3月期と2018年3月期で合わせて約950億円の減損処理を行いました。

LIXILはドイツ社で思わぬ落とし穴

LIXILグループは2014年にドイツの水栓金具大手のグローエを、約4000億円で買収しました。ただ、グローエの中国子会社で不正会計問題が発覚したことにより、2016年3月期までの3年間で660億円の損失がでてしまいました。

日本板硝子の英国社買収では赤字に

日本板硝子は2006年、世界3位のガラスメーカー、英ピルキントンを約6000億円で買収しました。わずか数年の間に、外国人社長が相次ぎ辞任し。10年間で6度の最終赤字を出してしましまいました。

富士フイルムは米ゼロックスと合弁解消

富士フイルムホールディングスは2018年1月、米国のゼロックスの買収で合意しました。ところがゼロックス株主からの反発があり、合弁は解消されることになりました。結果的にゼロックスは保有していた富士ゼロックス株式の売却などによって、約2500億円を手にした一方で、富士フイルムホールディングスにとっては、合併の解消により得るものはほとんどありませんでした。

M&A・事業承継
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