1+1=100になるM&A。パートナーを組むことで鮮明になった世界展開

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    • 企業: 有限会社スニタトレーディング
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    譲り受け
    企業: 株式会社ゴーゴーカレーグループ

「美味しいカレーを世の中に広め、世界を元気にする事」をミッションに、国内外での店舗拡大や販路拡大、事業譲受によるブランド拡大を精力的に行なっているゴーゴーカレー。

今回は、ビズリーチ・サクシードでの公募 をきっかけに、約40年の歴史を持ち、国内7店舗を展開する「本場インド料理店サムラート」の工場を買収。この工場の特徴は、イスラム法で食べることの許されたハラール料理を作ることができることだ。
この
M&Aをきっかけに、ゴーゴーカレーグループとサムラートブランド共に大きなシナジー効果を見込んでいるという。

具体的に、M&Aの決め手になったことや相乗効果などについて、ゴーゴーカレーグループ代表の宮森宏和氏と、サムラート・オーナーのカトリラジ氏に話を伺った。

前オーナーから引き継いだサムラート。黒字化できない工場を手放したい

――今回、サムラートが工場のM&Aを検討した背景には、どのような課題があったのでしょうか。

カトリ 私は約20年前、日本の旅行会社で支店長をしていました。そこでお客様だったインド人が経営していたのがサムラートです。その後、私はインドのお酒を輸入販売するビジネスを立ち上げたのですが、そこでもサムラートとは取引先としてお付き合いをしていました。

私がサムラートを引き継ぐことになったのは、今から4年前のこと。大きな負債がありましたが、20年もお付き合いがある前オーナーから「会社を任せたい」という話をもらったので引き継ぐことに。

その工場は、家でもサムラートの味を楽しんでもらいたいと前オーナーが始めたもので、手作りの味をスーパーやデパートなどに卸していました。だけど、なかなか利益を出せず、工場を手放そうと考えたのです。


――そこでゴーゴーカレーグループの宮森さんと出会ったのですね。

カトリ そうです。数社とのご縁があって検討をしていたのですが、宮森さんとお会いした日に私は宮森さんと組むことを決めました。ビジネスの意思決定や成長スピード、先読み力、夢に共感し、買収額などのお金ではなく、宮森さんと一緒になれば私の夢ももっと膨らむと思ったんです。

ゴーゴーカレーはアメリカに8店舗を展開していますし、石川県の老舗インド料理店「ホットハウス」を買収してインドカレーブランドも首都圏を中心に拡大させています。

だから、サムラートの工場も宮森さんに渡すことで、サムラートの味はゴーゴーカレーグループが持つ店舗やEC・小売店などの販路を通じて世界中に広げられる可能性があり、商品を食べた人がサムラートの店舗で食べたいと足を運ぶ可能性も高まります。1+1=2ではなく1+1=100の価値があると思いました。

世界展開する上で、必ず必要になる工場をM&Aで譲り受ける

――ゴーゴーカレーグループは工場を探していたのでしょうか?

宮森 インド料理の「ホットハウス」を首都圏中心に拡大するうちに、セントラルキッチンが必要になりました。なかでも、世界人口の約20%を占めるイスラム教の方が、イスラム法で食べることが許されたハラール料理を作れる工場があればいいなと思っていました。

サムラートの工場は、我々グループが世界展開していく上で必ず必要になるハラール料理が作れます。これは願ってもないチャンスだと思って、カトリさんにお会いすることに。会話をするなかで、ビジョンの大きさやビジネスのスピード感に共感し、ぜひカトリさんとパートナーシップを組みたいと思いました。

我々には営業やPR活動、EC販売などの強みがあり、カトリさんはハラール料理を作れる工場や、インドに人脈やスパイスなどのネットワークがたくさんあります。これを掛け合わせたら、お互いに今までできなかったことができるようになり、何倍もの成長が実現します。

それは、我々のミッションである「美味しいカレーを世の中に広めて世界を元気にする事」に大きく近づく一歩になると確信しました。


カトリ 相乗効果はいくつも生み出せますよね。工場では
90日常温で持つナンも作っているので、ゴーゴーカレーグループのニューヨークの店舗にも持っていけます。さらに、40年以上続くサムラートブランドとホットハウスのブランドを掛け合わせたら、インド料理のイメージを変えられると思いました。

インド料理はバターチキンとナンだけのイメージが根強いですが、スパイスは健康に欠かせない良薬であり、インド料理はもっとさまざまな種類や食べ方がある。それを広めたかった私の願いも叶うと思いました。


――
公募がつないだご縁だったのですね。もし今回MAを検討しなかったら、工場はどうしようとお考えでしたか?

カトリ このまま工場を維持し続けることに限界を感じていたので、工場は閉鎖しようと考えていました。

だけど今回のご縁で工場を閉鎖せずに済みましたし、ゴーゴーカレーグループの販路によって、サムラートブランドはより拡大できることになりました。本当にプラスしかないと思っています。

自社だけではできなかった夢も、グループになれば実現できる

――ゴーゴーカレーグループとサムラートが一緒になったことで、これからどのような展開をしていきますか?

宮森 グループにハラール工場が加わったことで、これからゴーゴーカレーのハラール料理を作れるようにもなりますし、新しいブランドや新メニュー、小売店向け商品の拡大などもできるようになります。たとえば、タンドリーチキンやチキンテッカなども工場で作れば、カフェや社食に提供できるようになるかもしれません。

20204月に、全国各地のカレーを提供するお店を羽田空港に出店するのですが、世界各国の人が集まる空港でハラール料理を提供できたら、価値は高いと思っています。


カトリ インドは広い国なので、カレーと言っても地域によってまったく違います。しかもインド料理はカレーだけではありません。たとえば、立ち飲み居酒屋とインド料理を組み合わせた
「稼鶏酒場」は若い⼥性から⼈気ですし、海⽼名にある『ナチュリー』ではカレー鍋やナンピザを鉄板で提供して 1 年で売り上げは2倍に増えました。

くさんのスパイスを使って健康に良い料理を日本でもっと広めるために、私はこれからもさまざまな形態の店舗を出店したいと考えています。

実はサムラートだけでなく、私はマハラジャという国内9店舗でインド料理を提供する会社も経営しています。サムラートとマハラジャを合わせると、国内では大規模のインド料理ブランドになるので、これを拡大させることで、日本でのインド料理のイメージを変えていきたいです。

売る・買うの関係ではなく、事業成長を加速させるパートナー

――M&Aは成長戦略に欠かせない手法だと思います。もしM&Aの検討を悩んでいる経営者がいたら、どんなメッセージを届けたいですか?

宮森 MAと言っても、今回のようにパートナーの組み方はさまざまです。自社だけで続けるよりもグループになって一緒に展開していく方が、経営者はもちろん、従業員やお客様にとっても良いことは多いかもしれません。

我々は単に買収をして、ゴーゴーカレーのブランドを増やしたいのではなく、共にシナジーを生み、成長していく方法を検討しているので、共感くださる方とは積極的にパートナーを組みたいと思っています。

今回、カトリさんとパートナーになったことで、スパイス購入の新しいルートができて、仕入れコストを大幅に抑えられるようになりました。人材面でも優秀なインド人やネパール人を紹介してもらっていて、世界での店舗拡大も見えています。

また、多様な国籍の多様な価値観を持つ人が集まったことで知識も増え、全社で新しい発想が生まれるようになったのも、大きな価値だと思っています。


カトリ
 今回の
M&Aによって、私のブランドはさらに大きくなります。だから、M&Aを悩んでいる経営者がいたら、悩むよりも一緒になることでどれだけシナジーを出せるかを考えた方がいいと思います。

お互いのノウハウをシェアすれば、今までできなかったこともできるようになる。もし私がMAをしていなかったら、単に工場を失う結果が待っていただけです。ですから、売る・買うの関係ではなく、パートナーとして事業成長を実現させるのがM&Aの本質だと捉えたらいいと思いますよ。