この“ご縁”は偶然か必然か。インターネットが繋いだ運命的なM&Aとは

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    • 企業: 有限会社東航
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    企業: TRUTH LOGISTICS 株式会社

海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開するTRUTH LOGISTICSの代表・青山誠公氏は、より事業を成長させるためにMAを検討し、ビズリーチ・サクシードに登録。そこで出会ったのは、陸路での運送業を営む有限会社東航。代表の鶴田和夫氏は70歳を目前に引退を考えていました。実は、この2社は偶然にも8年前からお付き合いのあるお取引先だったといいます。情報開示して初めてわかった運命的なご縁について、青山氏と鶴田氏に語っていただきました。

お客様との関係性や大切な社員を「廃業」で失くしたくない

ーー:鶴田さんがM&Aを検討した背景について教えてください。


鶴田 東航は、輸出入貨物、産業廃棄物の処理、事務所の移転、引越を得意とする運送業で、
1984年に先代が創業した会社です。私は2代目として経営してきましたが、もうすぐ70歳。ゴルフ仲間から「後継者がいないならM&Aによる譲渡を検討したほうがいい」と言われるようになりました。

無借金経営をしてきたので廃業も考えましたが、自分で開拓したお客様との関係性を失くしてしまうのは心苦しい。というのも、先代のお客様が亡くなったり廃業されたりした55歳のとき、飛び込み営業で今のお客様を開拓してきたんですね。実は、家業を継ぐ前は自動車のトップセールスマンでした。

ドライバーや社員も私が一人ひとり採用してきたこともあり、お客様や協力会社、社員を守って関係性を継続させたいと思うようになり、M&Aによる譲渡の検討を始めました。

ただ、いろんなM&Aサービスや金融機関に話を聞いても、手数料が想像を超える金額で。どうしたらいいのかと悩んでいたとき、偶然読んだのが新聞のある記事でした。そこではビズリーチ・サクシードが紹介されており、圧倒的に安い手数料に驚いて「こんなにも良心的なサービスなら試してみよう」と思って登録しました。

偶然見つけたビズリーチ・サクシードで、偶然にも取引先とつながる

ーー:青山さんも買い手企業としてM&Aは検討されていたのでしょうか?

青山 そうですね。これからの世の中、自社の力だけで成長し続けるのには限界があります。それに、日本を含め世界がドラスティックに変化している今、未来のために何か手を打たないと生き残れない。そこでM&Aによる譲り受けを検討するようになりました。

TRUTH LOGISTICS1998年に設立した、国際物流輸送業者です。中国やアジア、中東、欧米など世界300社以上の海外提携代理店とのネットワークがあり、海上・航空輸送、通関ロジスティクスサービスを展開していますが、陸路の運送事業は持っていませんでした。

だから運送会社をM&Aすることで会社をより成長させたいと思い、MAについての情報収集を始めたところ、偶然見つけたのがビズリーチ・サクシードでした。

鶴田 ほかの通関業者から、陸路の運送業を始めたいという相談を受けたことがありました。でも、運送業の免許は取れてもドライバーを確保して車庫を構えるのは簡単なことではありません。だから、買収したほうが結果的にコストを抑えられるという話をしたことがあります。


青山
 そうなんです。自社で持つのは難しいからこそ、ビズリーチ・サクシードで運送会社を検索しました。最初はノンネームなので社名はわかりませんでしたが、興味を持った会社に連絡をして情報開示してもらったら東航さんでした。実は東航さんは
8年前からお付き合いのある取引先なので、本当に驚きましたね。


鶴田
 青山さんと直接お会いしたことはなかったのですが、トラックを手配したこともあったし、社員も面識があります。お声がけいただいて本当に驚きましたし、ご縁を感じました。

社名を残して今のスタイルをそのまま引き継ぎ、進化させる

ーー:情報開示したら取引先だったとは、本当にご縁ですね。成約まではどのような話し合いをされたのでしょうか。


青山 意思決定は早かったのですが、融資してもらう金融機関とのやり取りに時間がかかったので、その間に2~
3回食事をしました。


鶴田 食事会では、妻や娘に加えて配車係の
50代と30代の社員も交えて話をしました。東航のドライバーは全員同じ給与で、高額な給与を提示できない分、帰れるときはすぐに帰ってもらっています。13時や14時に退社できることはよくあるので、高齢者やシングルマザーでも働きやすいんですね。

他より給与は安くても拘束時間が短い。この利点から同業者からの転職者や出戻りはよくあります。だから、このご時世でも人手不足に陥ったことはありません。この文化と長年信頼関係を築いてきたお客様、そして大切な社員を引き継いでほしいという話をしました。

話し合いのなかで本当に嬉しかったのが、青山さんが東航の社名を残してくれると言ってくれたこと。先代が思いを込めて残してくれた会社だから、社名だけは変えたくないと思っていたので、これは本当に「お金に勝る価値」。代表者が変更になるだけで済むなら、これほど嬉しいことはないと思いましたね。


青山 鶴田さんが大事に育ててきた会社だから、今のスタイルでそのまま引き継ぎたいと思いました。だから社員を交えて食事会をして、彼らのリクエストも聞きました。ただ、ずっと同じではなく、徐々にですが一緒に進化させていきたいと考えています。

たとえば、ニーズの多いコンテナ輸送に対しては、東航とのシナジーを出せる領域です。私たちには対応できませんでしたが、東航さんは対応できるので新しい挑戦ができると思っています。

通関業は波が激しい業界で、昨今の日中関係の悪化によってダメージを受けている会社は多くあります。しかしTRUTH LOGISTICS 2012年に、日中関係の今後を予測してベトナムなどにシフトしたので、そのダメージから逃れられました。

同じように、今後も世の中の変化やニーズを的確に捉えながら、一緒に新しいことに挑戦したいと思っています。

人生は一度きり。常に身の丈に合った冒険をしていたい

ーー:東航を買収した青山さん、引き継ぎが終わればリタイアする鶴田さん。それぞれの今後について教えてください。


青山
 人生は一度しかありません。だから、自分の身の丈にあった挑戦をし続けたいと思っています。

私はもともと中国の国営企業に就職していたのですが、20代後半のときに自分の20年先までの未来が見えたんですね。このままこの会社で働き続けるのではなく、外に出て新しい挑戦をしようと思って、1992年に来日して留学をしました。

その後、貿易関係の会社に就職して36歳の頃に起業。前職で船の手配経験があったとはいえ、日本語はそこまで上手に話せませんでしたし、お客様はゼロからのスタートです。ただ、当時の日中関係は良好で、貿易量も増えてきたタイミングだった。だから冒険しようと思いました。

今回のM&Aも私に取っては冒険の一つですし、将来のビジョンを持った冒険なら、転んだとしてもゼロにはなりません。2社で新しいことに挑戦しながら、ゆくゆくは総合物流会社になりたいと思っています。


鶴田
 私は、社員の不安を取り除き、スムーズに引き継げたことを見届けたら引退します。これまでも、週末はウィンドサーフィンや素潜りに出かけ、冬はスキー、天気がいい日はゴルフといった具合で、休みの日はほとんど家にいませんでした。引退すれば好きなだけ遊べると思うと、楽しみで仕方ないです(笑)。

もともと、家業は鶴田運送という会社で、すでに兄が継いでいたので私はセールスの仕事を続けたいと思っていました。そんな私に対して、どうしても帰ってこいと先代が作ってくれたのが東航という会社。

その大事な会社の経営を70歳までやりきり、健康なうちに引退できるご縁をいただいたビズリーチ・サクシードには感謝しています。あのとき、偶然ですが新聞の記事を読んで良かった。東航は青山さんと社員に託したいと思っています。