M&Aのロングリストとは?意味や記載項目を公認会計士が解説

M&Aにおけるロングリストとは、M&Aを行う候補先をリスト化したものです。一方でショートリストは、より詳細に候補先を絞ったリストです。記載項目や活用方法、作成のポイントをわかりやすく解説します。(公認会計士監修記事)

M&A ロングリスト(FV)

目次
  1. M&Aにおけるロングリストとは
  2. ロングリストの記載項目・作り方
  3. ロングリストとショートリストの違い 
  4. M&Aにおけるロングリストを作成する際のポイント 
  5. まとめ

M&Aにおけるロングリストとは

ロングリストの意味

ロングリストとは、自社が営業や仕入を行う際、一定の評価基準に従い、候補先企業を幅広くリストアップしたものを意味します。
ロングリストを作成した後は、より詳細な比較や条件交渉を行い、サービス提案や発注を行うという実務の流れとなります。

M&Aにおける活用方法

M&A ロングリスト 活用方法

M&Aにおいてロングリストは、M&Aの候補先一覧として活用されます。
買い手であれば、売り手企業リスト、売り手であれば、買い手企業リストの意味となります。

ロングリストを作成することで、ターゲットとなる相手先企業が明確になり、効率的に候補先企業へアプローチすることが可能となります。

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ロングリストの記載項目・作り方

記載項目

ロングリストの記載項目に決まりはありませんが、以下のような事項を記載します。
M&Aの相手先に何を求めるかによって記載項目は異なってきます。

  • 会社名、代表者名
  • 所在地
  • 主な商品
  • 資本金の額
  • 従業員数
  • 売上、利益
  • 会社URL
  • 担当者、問い合わせ先メールアドレス

作り方

WEBサイトや信用調査会社の情報から、上記情報を集約して作成します。
通常、20~30社程度をリストアップしていきます。

ロングリストの段階では、特に開示されていない情報については、無理に情報を取りに行く必要はなく、ない情報は空欄のままで構いません。
詳細な情報部分よりも、網羅的に企業がリストアップされているかの方がより重要です。

自力で情報が見つからない、対象企業が分からないといった場合には、M&A仲介会社、FAなどのM&A専門家の支援を受けることもできます。

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ロングリストとショートリストの違い 

記載項目

ショートリストは、ロングリストに加えて、下記のような情報を追加します。
ロングリストよりも更に詳細な情報を付記されていることが分かります。

  • 株主構成、取引銀行、主要な取引先
  • 役員構成
  • 時価総額(上場企業)、直近の増資時のValuation(未上場企業)
  • 過去3年間程度の売上、利益、借入金、純資産等の推移
  • 事業上の強み・弱み
  • 自社と想定されるシナジー

作成目的

ショートリストの作成目的は、ロングリストよりも更に候補先企業を絞ることです。
M&Aの可能性の高い対象企業を特定することで、無駄なM&Aの交渉をしてしまうことを防ぐことができます。

最終的に完成したショートリストを元に、実際に交渉を進めていくことになります。

作成するタイミング

M&A ロングリスト 作成タイミング

売り手側の場合、ロングリストの企業に対してティーザーを送付し初期的な反応があるかを確認します。
何かしらの反応があった企業から、買い手を選別し、ショートリストを作成し実際に交渉すべき買い手を特定します。

つまり、売り手側のケースでは、ショートリストを作成するタイミングは、ティーザーを送付し買い手から反応があった後、ということになります。

一方、買い手の場合、ロングリストから、足切り基準等を設け、優先順位をつけることでショートリストを作成していくプロセスが一般的です。
そのため、買い手側のケースでは、ロングリスト作成のタイミングとショートリスト作成のタイミングは近くなることが多くなります。

作成のポイント

ショートリストはロングリストからより詳細な情報を収集する必要があるため、どのように情報を取得するかがポイントです。

ターゲット企業が上場企業であれば、有価証券報告書や決算説明資料などに様々な情報が開示されています。
しかし、未上場企業の場合にはホームページに詳細な情報が開示されている場合は多くはありません。
信用調査会社の個別レポートを購入するといった方法が考えられますが、ターゲット企業に営業をしながら情報を聞き出すという方法もあります。

工夫して必要な情報を獲得することで、充実したショートリストを作成することができます。

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M&Aにおけるロングリストを作成する際のポイント 

作成前に希望条件や戦略を明確にしておく

ロングリストはやみくもに作成し始めるのではなく、作成前に希望条件、戦略を明確にしておくことで効率的に作成することができます。

例えば、希望条件として1億円以下の買収を考えている場合には、大手企業をリストアップすることの意味はありません。
シェアを伸ばすことがM&Aの目的なのであれば同業の競合先、新規事業が目的なのであれば新規事業に類似するサービスを提供している企業をリストアップします。

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相手企業とのシナジー効果も考慮する

ロングリストを作成する際は、買い手側であっても売り手側であっても、相手企業とのシナジー効果も考慮することが重要です。
買い手を例にとると、自社サービスのアップセルとなるような商材の獲得をM&A戦略に掲げている場合、自社のサービスと相手企業とのシナジーを幅広く想像してみるとロングリストが充実します。

売り手であれば、相手企業とのシナジーが大きければより高値で売却できる可能性が高まります。
上場企業などある程度情報が開示されている企業であれば、提案書に買い手企業との期待シナジーをアピールすることもできます。

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実績が豊富なM&Aアドバイザーに協力してもらう

自分の力だけでロングリストを作成しようとすると、どうしても不要な企業がリストに入ってしまったり、重要な企業が入っていなかったりするなどの問題が発生しがちです。

網羅的で効果的なロングリストを作成するためには、実績が豊富なM&Aアドバイザーに協力してもらうことがポイントです。
M&Aアドバイザーは数々のM&Aを成約してきていますので、どうロングリストを作成すればM&Aの成功確率を高められるかどうかにつき勘所があります。

M&Aの初期のプロセスであるロングリスト作成段階から、M&Aアドバイザーに協力してもらうことで、M&Aの後のステップも効率的に進めることが可能になります。

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まとめ

M&Aのロングリストは、効率的にM&A相手を探していくために重要な効果があります。
ロングリストから更に企業を絞り、より詳細な情報を追加したものがショートリストとなります。
ロングリストとショートリストを使い分け、自社にふさわしいM&A相手を探していくようにしましょう。