イグジット(エグジット、EXIT)とは?意味をくわしく解説

イグジット(エグジット、EXIT)とは、M&AやIPOで利益を得ることです。ハーベスティングとも言われるイグジットは、事業の投資資本を回収する出口戦略です。公認会計士がイグジットの意味を解説します。(公認会計士 前田 樹 監修)

イグジット 意味(FV)

目次
  1. イグジット(エグジット、EXIT)の意味
  2. イグジット(エグジット、EXIT)の主な手法・種類
  3. イグジット戦略・プランとは
  4. 日本におけるイグジット(エグジット、EXIT)の現状
  5. まとめ

イグジット(エグジット、EXIT)の意味

イグジット(エグジット、EXIT)とはベンチャービジネスや企業再生などにおいて創業者やファンド、投資会社などが第三者に株式を売却したり、IPO(株式公開)をしたりすることにより利益を得ることをいいます。
別名、ハーベスティングとも言われます。

イグジット(エグジット、EXIT)はファンドが利益確定を目的に売却戦略を考えたことから広がりました。

企業成長に合わせて企業価値は向上するため、イグジット(エグジット、EXIT)をすることで株式売却益を得られることになります。
起業時に投じた
投下資本は数百倍〜数千倍の企業価値となることもあり、莫大な資金を得られることも珍しくありません。

また、日本では少子高齢化が進んでおり、後継者問題が進行しています。
そのため、
後継者不在の企業がイグジット(エグジット、EXIT)をすることも増加しています。

イグジット(エグジット、EXIT)の主な手法・種類

イグジット(エグジット、EXIT)について主な手法や種類について解説していきます。

イグジット M&A IPO

IPO

IPOとは株式公開のことをいいます。
すなわち、
株式を証券市場に上場させることで創業者などは株式を売却し利益を得ることでイグジット(エグジット、EXIT)する方法となります。
株式を上場することで不特定多数の投資家が取引できるようになるため、
多額の資金調達をすることも可能です。

IPOでは株価が高騰することが多く、株式売却することで利益が大きくなりやすいという特徴があります。
また、上場することで
企業の認知度や信用度も上がり、人材の確保や新規取引先との取引開始などのメリットもあります。

一方、IPOをしようとするとそれまでに企業の体制や制度などの構築、監査を受けるなど準備が必要となります。
また、上場すると多数の投資家が株主となり、
株主に対する説明責任が生じ、さらには経営の透明性なども必要となります。

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M&A

M&AとはMergers and Acquisitionsを略したもので、直訳すると企業の合併買収となります。
イグジット(エグジット、EXIT)戦略としてM&Aは良く用いられる手法となります。

株式を売却することで経営者はイグジット(エグジット、EXIT)可能となり、資金を得ることができます
なお、事業譲渡をした場合には会社に資金が入ることになるので留意が必要です。

また、MBOという言葉もよく聞くかと思います。
MBOは
Management Buyoutを略したものでM&Aの一つの手法で、経営陣などによる自社株買いを意味します。

経営者という立場からするとIPOとMBOは対極に位置するもので、IPOは経営者が株式を売却することで経営者がイグジットする方法であるのに対して、MBOは経営者が株式を再度取得する方法であるため、外部株主のイグジットの方法となります。

M&Aによるイグジット(エグジット、EXIT)によるメリットは株式の譲渡収入を得られることIPOと比較すると準備が少なくて済むため、簡単に進めやすい点です。
また、
従業員の雇用や取引先との関係なども維持されやすく、シナジー効果が得られやすいこともメリットとなります。

一方、M&Aによるイグジット(エグジット、EXIT)によるデメリットは、経営権を手放すことになることです。
そして、経営者として離れたとしても
一定程度の責任が残るというデメリットがあります。
また、
企業風土や経営方針なども変わってしまう可能性もあります。

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イグジット戦略・プランとは

会社をイグジット(エグジット、EXIT)する場合、ベンチャーであれ、企業再生であれ、イグジット戦略やイグジットプランを策定することになります。
将来株式公開(IPO)するのか、株式を売却するのかなどを決めた上で、それはどのタイミングで実行するのかということを明確にします。

イグジット戦略やイグジットプランを明確にすることで出資者や経営幹部にとって目標や時期が明確になり、やるべきことも明確になります
また、出資に対する見返りも期待でき、
創業者や経営幹部のモチベーションアップにもつながり推進力も上がります

イグジット戦略やイグジットプランを進めていくと必ずしもうまくいくとは限りません。
進めていく中でうまくいかなければ、対応が必要になってきます。
状況に応じて適宜変更しイグジットプラン等を進めていきましょう。

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日本におけるイグジット(エグジット、EXIT)の現状

日本のベンチャー企業に対するイグジット方法は株式公開(IPO)を選択するケースが多いという状況にあります。
株式公開によるイグジット(エグジット、EXIT)の割合は、三菱総合研究所の「平成30年度産業経済研究委託事業」に関する報告書[1]によると
2014年が76%、2015年が69%、2016年が58%、2017年が65%となっています。

日本では株式公開によるイグジット(エグジット、EXIT)が半数以上を占めているのに対して、同報告書によるとアメリカは90%程度がM&Aによるイグジット(エグジット、EXIT)となっているという特徴があります。
日本ではベンチャー企業といえば株式公開というイメージもありますが、調査結果でもイメージと同様の結果が出ています。

また、日本では近年経営者の高齢化や少子化により、後継者不足が問題となっており、M&Aによるイグジット(エグジット、EXIT)も増えてきています。
以前であれば、親族内で事業承継されるケースが結構な割合を占めていましたが、近年下図[2]のように
事業承継系のM&Aが増加しており、M&Aによるイグジット(エグジット、EXIT)が増加していることがわかります

事業承継 M&A 件数事業承継(レコフ)をもとに弊社作成

後継者問題は、今後も継続する見込みであるため、事業承継系のM&Aは増加していくと見込まれます。

[1] 経済産業省 株式会社三菱総合研究所作成「平成30年産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費)(大企業とベンチャー企業の経営統合の在り方に係る調査研究)
[2] 事業承継(レコフ)

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まとめ

ここまでイグジット(エグジット、EXIT)について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

イグジット(エグジット、EXIT)にはベンチャー企業だけではなく、経営者が引退するタイミングなどで考えられることも多く、それぞれ用いられる手法に違いがあります。
それぞれのタイミングで用いる手法は適切なものを検討し、イグジットプランなどを作成して着実に進めていきましょう。

(執筆者:公認会計士 前田 樹 大手監査法人、監査法人系のFAS、事業会社で会計監査からM&Aまで幅広く経験。FASではデューデリジェンス、バリュエーションを中心にM&A業務に従事、事業会社では案件のコーディネートからPMIを経験。)