「リサイクル業×解体業」 川上から川下までを統合させたM&A

  • 譲渡
    株式会社木村工務店
    事業概要:解体工事、産業廃棄物処理など
    本社所在地:北海道釧路市
    従業員数: 25名(2021年)
    譲渡理由:後継者不在
    仲介したM&Aアドバイザー:スターパートナーズ合同会社
    株式譲渡
    譲り受け
    株式会社鈴木商会
    事業概要:資源のリサイクル総合企業
    本社所在地:北海道札幌市
    従業員数: 364名(2020年度)
    売上高: 148億1100万円(2020年度)
    譲り受け理由:事業拡大
  • リサイクル
  • 解体工事
  • 産業廃棄物処理
  • 北海道

建設業界のM&Aが今、増加傾向にあります。事業エリアの拡大や人材不足の解消を狙ったM&A、そして業界の枠を超えた再編の動きが目立つようになってきました。建設そのものだけでなく、隣接する業種が豊富であるため、シナジー効果が期待できることもM&Aの活性化を促しています。今回紹介するのは、北海道を代表するリサイクル総合企業の株式会社鈴木商会と解体工事を主な事業とする株式会社木村工務店のタッグ(2021年7月グループ入り)です。鈴木商会が目指したのは、川上から川下までを統合すること。リサイクルを核にサステナブルな業態を完成させることが、時代の要請に応えることだと判断したのです。譲り受けした株式会社鈴木商会代表取締役社長 駒谷僚 氏、常務取締役 田中 勝博 氏、木村工務店 取締役(元・代表取締役) 木村秀明 氏に、タッグを組むまでの背景や目的を聞きます。

「リサイクル業×解体業」。川上〜川下の中でサステナブルなループを作

――鈴木商会様の事業内容を教えてください。

鈴木商会 駒谷 鈴木商会は1941年、北海道の室蘭市で創業しました。現在、本社は札幌市にあり、従業員は約400名です。金属スクラップのリサイクルから業を興し、その後、家電や自動車のリサイクルのほか、アルミ精錬へと領域を広げてきました。あらゆる資源のリサイクルを行う総合企業として、北海道全域でビジネスを行っています。

――木村工務店様は2021年7月に鈴木商会のグループの一員となりました。

木村工務店 木村 当社は1963年創業(1980年会社設立)で、主に建物の解体を行っている会社です。大規模なプラントの解体の実績もあり、建設関係の廃棄物の再生もしています。従業員は25名です。北海道の釧路市に本社を置き、道東(釧路、北見、網走)エリアを主な市場としています。

――譲り受けの始まりはビズリーチ・サクシードの情報からでした。

鈴木商会 田中 「M&A経営」を担うCFOとしてビズリーチ・サクシードに登録し、日々案件をチェックしていました。毎日、ビズリーチ・サクシードから届くメールの中で、気になる案件については問い合わせをしていました。木村工務店はそのうちの1社でした。

――「リサイクル業×解体業」です。どこを目指しているのでしょうか?

鈴木商会 駒谷 リサイクルの総合企業として今後成長するためには、よりバリューチェーンの上流に行かなければという危機意識がありました。スクラップを発生させる立場を加えることで、グループ内で解体から産業廃棄物の処理までを完結することができます。

解体市場は年々、拡大しています。北海道でも、北海道新幹線の延伸や2030年のオリンピック招致などがあり、急ピッチで再開発のための建て替えが行われています、需要は非常に高い業種と言えます。

譲り受けの決め手は譲渡企業の「信頼」と「クリーン」

――木村工務店様の何を評価されたのですか?

鈴木商会 駒谷 木村工務店の展開エリアは道東が中心です。道東は道内全域で事業展開する当社が、比較的これまで上流から開拓してくることができていなかったエリアでした。このエリアで同社が長年にわたり顧客の信頼を得て事業展開していることにとても魅力を感じました。

鈴木商会 田中 さまざまな点で「クリーン」なところも好印象でした。書類関連や業務などあらゆる面で管理が行き届いているので、ここなら間違いないと思いました。中小企業でありがちなどんぶり勘定の要素は見当たらず、ガバナンスができています。現場だけでなくバックヤードも整理整頓ができている。事務所も清潔です。

――木村工務店様が企業譲渡を決めた背景を教えてください。

木村工務店 木村 大きく3つの理由があります。まずは、道東圏での更なる営業力強化が見込めることです。当社は道東で事業をおこなっていますが、当社のみならず鈴木商会の強固な営業リソースが新たに活用できることを魅力に感じました。

2つ目に、従業員の雇用の安定化につながることです。経営基盤がしっかりした鈴木商会にグループインすることで、当社がこれまで大切にしてきた人材も、より安定して雇用し続けることができます。

3つ目に、後継者のことです。私自身にこの仕事を継ぐ後継者がいないため、その状況で会社自体を存続、成長させていく最良の選択肢として今回の決断をしました。

 

――シナジー効果は大きそうです。

鈴木商会 駒谷 両社にとってはまず、今までお付き合いのなかった分野のお客様との接点が生まれ、グループ全体の幅が広がります。さらに、鈴木商会においてはスクラップを発生させる立場になることで、他分野への相乗効果が期待できます。また、鈴木商会内で解体から産業廃棄物の処理までを完結できるので、資源循環の効率が上がりより地域に貢献できる事業になると考えています。

豊富な案件と素早いレスポンス。使ってわかるビズリーチ・サクシードのメリッ

――ビズリーチ・サクシードを選んだ理由をお聞かせください。

鈴木商会 田中 業種やエリアを決めると毎日のように案件情報が届くので、簡単に始められるのがいいですね。ビズリーチ・サクシードは、Amazonのような感覚で好きな時間に興味のある事案やオススメ情報を見ることができます。当社が興味のある業界だけでなく、コロナ禍の影響で観光関連などの案件が多く出ていますが、日本の経済全体のトレンドを見られることもビズリーチ・サクシードの特長だと言えるでしょう。

――ご一緒になられたことについて、木村工務店様はどのように思われますか?

木村工務店 木村 グループインにより木村工務店の売り上げがさらに上がり、それを鈴木商会に還元していきたいと考えています。当社は繁忙期と閑散期が比較的はっきりしているため、時期を見計らって重機を鈴木商会側に有効利用してもらうなど効率化も期待できます。取引先の増加により、工事の受注増加にもつながっていくと見込んでいます。

今とても強く感じていることは、鈴木商会へのグループ入りは木村工務店にとって良いことずくめであると確信しています。これから会社は間違いなく大きく成長できることでしょう。私も引続き、取締役として仕事をすることができますが、代表であった以前よりも仕事に対する意欲が強くなりました。目標を成し遂げられるよう、日々精進したいと思っています。

――ご一緒になられて数カ月が経ちました。PMI(経営統合作業)は順調ですか?

鈴木商会 田中 新たなスタートにあたっては、当社の部長職が専務取締役として入り、すでにバリバリ働いています。木村前社長は取締役として引き続きマネジメントにあたっていただいています。非常に盛り上がっている社員もいて、幸先がいいと感じています。特に営業サイドはすごく心強いと言ってくれています。

――グループ化による改革は、何から手をつけられますか?

鈴木商会 田中 労働環境の改善が最優先と考えております。当社ではこれまで休日が105日しかなかったところを、去年春から126日休みにしました。木村工務店についても、今後休日を増やしていく予定です。また、今後は従業員規則も変えていきます。社員が働きやすい会社にすることは、新たな人材を採用しやすくなることにも直結します。業務の棚卸しの中で、IT化・システム化の必要を感じています。書類作成や得意先や役所に提出する作業が多いので、効率化により他の仕事に集中できるようにしていきたいですね。

「M&A経営」が拡張する企業の未来

――「M&A経営」を推進するにあたって、鈴木商会様のこれからの展望を教えてください。

鈴木商会 駒谷 廃棄・解体・再生・製品化という循環のなかで、当社が扱う範囲を広げたいと考えています。また、中長期の経営計画では、本州への進出も視野に入れています。そのために、産業廃棄物の最先端技術を持つ会社とM&Aを含む協業を模索しています。

新しい技術を使って環境負荷の軽減に貢献することは、当社の大きな目標のひとつだからです。スクラップという言葉をネガティブに捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、廃棄物を回収して再資源化するという全体図を提示できれば、サステナブルという時代の要請にあった業種だと理解していただけるはずです。

M&Aという手段を活用することで、当社が目指す方向性がスピーディーに実現し、それがリサイクル業界全体のイメージを変えるきっかけになればと思っています。

――M&Aを躊躇する経営者がいらっしゃいます。何かアドバイスをいただけますか。

鈴木商会 駒谷 皆さんのライバル他社はすでに「M&A経営」(M&Aを経営に取り入れること)を行っています。躊躇していると一気に置いていかれてしまう。階段に例えるなら、一気に5段、10段も抜かれてしまうほどの差がつきます。1段ずつ上がっていくには時間も気力も体力も必要です。しかし、政府成長戦略会議メンバーを務めたデービッド・アトキンソンさんが言うように、自社のみで成長するには中小企業と大企業では埋められないほどの開きがあります。「今のままで自分の城を守っていけるのか?」という厳しい現実が中小にはあるのです。生き残っていく覚悟を決めたのなら、「M&A経営」を進めるべきだと私は考えています。