「地域の花屋×D2C・EC支援会社」  商品生産とECの役割分担で業績を伸ばすM&A

  • 譲渡
    株式会社WhiteS
    事業概要: Amazonを中心とした生花販売(店舗も運営)
    本社所在地: 香川県
    従業員数: 4名
    譲渡理由: 事業拡大のための資金調達
    事業譲渡
    譲り受け
    株式会社いつも
    事業概要: 中小・大手メーカーに向けてのD2C・ECの総合支援事業
    本社所在地: 東京都
    従業員数: 235名(2021年6月末時点)
    売上高: 88億円(2021年3月期)
    譲り受け理由:地域ブランドの応援・育成のため
    
  • 東京都
  • EC
  • 生花店
  • 香川県

年々成長しているECビジネス。「M&A経営」においても特に活性化しているジャンルのひとつです。その潮流に合わせて、株式会社いつもは、2021年に「D2C・ECブランドM&A・成長支援サービス」を開始。「いつも」は、ECブランドを譲り受け、培ってきたノウハウを使って拡大・成長させます。EC事業のみを譲渡した譲渡企業は、商品生産を続け、「いつも」から仕入れ先として継続受注でき、「いつも」のECノウハウを生かし、EC事業を成長できます。つまり、お互いの強みを生かしたM&Aなのです。今回の記事では、「D2C・ECブランドM&A・成長支援サービス」を実際に経験した素晴らしいタッグを紹介します。譲渡オーナーと伴走した譲り受け企業の想い、不安を取り除いていったプロセス、お互いの強みを生かし合える環境づくりなどについて、株式会社いつもM&A戦略グループ グループマネージャーの矢追紘様と、高松市で白坂花店を運営する株式会社WhiteS代表取締役の白坂遼様に話を聞きます。

 

D2C・ECブランドM&A・成長支援サービスで事業価値を高め

――「いつも」様はECマーケティング支援を軸に成長してきました。

「いつも」 矢追 「いつも」は、当社代表の坂本が2007年に東証1部の経営コンサルティング会社から独立して創業しました。コンサルティングから開始し、サイト制作・運用、広告、お客様対応、物流まで広げてきました。現在、様々なEC企業様のご支援をしています。

 

――「D2C・ECブランドM&A・成長支援サービス」についても教えてください。

矢追 2020年、当社は東証マザーズに上場しました。それを機に、株主様に私たちの成長を示せる新しい事業ができないかを考えてきました。そのひとつが2021年4月に始めたD2C・ECブランド企業様を対象にしたM&A・出資事業です。リソース不足、資金不足、ECノウハウが不足しているD2C・ECブランド企業様に対して、当社が経営支援を行うことで、M&A・出資先の事業価値を高める事業です。その一環としてビズリーチ・サクシードに登録したところ、幸運にも白坂様とのご縁をいただきました。

 

――白坂花店様は地元では老舗として親しまれてきました。

WhiteS 白坂 祖父が創業して僕で3代目になります。それから60年ほどになりますが、代替わりして4年目となる2020年、事業の拡大を考え、「株式会社WhiteS(ホワイツ)」として法人化しました。特に力を入れようと考えていたのがECです。ちょうどその時、「いつも」様から声をかけていただきました。

 

――Amazonのフラワーアレンジメント部門では「ベストセラー」を継続的に獲得されています。ECはいつ頃から始められたのでしょうか?

白坂 6年ほど前からAmazonに出店しています。だんだんと認知されるようになり、このところユーザーは急増しています。自社ホームページでもECをやっていましたが、集客力のあるAmazonに注力するようになりました。

 

 

 

伸びしろを再確認し、お互いの強みを生かすM&A

――どのようにビズリーチ・サクシードを知り、登録されたのでしょうか?

白坂 2年前にビズリーチ・サクシードから「白坂花店様を譲り受けたいという会社様があるのですが」との電話連絡をいただきました。代替わりして間もなく、その時はお断りしましたが、「今後いいお話があったときだけ検討できるように登録だけでもされませんか?」と勧められたのがきっかけです。

 

――「いつも」様はどのようなECブランドを探していたのですか?

矢追 ジャンルで選ぶのではなく、まず私たちのノウハウで成長させられるECブランド様に注目しています。プラットフォーム利用の有無や商材は何かなどはこだわらずに、サイトを見て伸ばせそうだと思えば、声がけさせていただいています。

 

――「いつも」様は白坂花店様のどこに魅力を感じたのですか?

矢追 Amazonでベストセラーを獲得しているのが、やはり大きな強みだと感じました。一方で改善点もあることを感じました。しかしこれは言い方を変えると「今後の伸びしろ」なんです。

 

――白坂様にはどのような提案をされたのですか?

矢追 当初は、白坂様と従業員の方々も含めて事業全体を株式譲渡したいという申し出をいただいていました。ただ、私たちはECのみの展開ですので、「役割分担でやっていきませんか?」と逆に提案したのです。私たちはECを伸ばし、白坂様は素晴らしい商品をつくる。「掛け算で伸ばしていきましょう」と提案したわけです。

 

――それに対して、白坂様はどのように思われましたか? 

白坂 当店の売り上げの8割はECです。正直、それがなくなるのは不安でした。しかし、当店ができないウェブ構築などをやっていただけること、EC事業譲渡後、仕入れ先として継続受注できる安定した環境をつくっていただけること――それらを理解できたので提案に同意しました。ともに成長できる確信を得たのです。

 

いくらいいものをつくっても、お客様に見てもらえないと売り上げにはつながらないなと。実は、伸びしろも見えなくなって一人で悩んでいるところ「いつも」さんから、“伸びしろ”があると言われ、まだまだ伸ばせるのだと再確認できました。

 

 

矢追 提案に同意いただくまでの経緯について、補足させてください。白坂様と話を進めるなかで、フラワーアレンジメントを1つつくるのにいくらかかるかについては、これまでは、あまり計算してきていなかったようで、デューデリジェンスのプロセスで、しっかり計算したほうがいいですよね、となりました。そこで、白坂様から過去の請求書をいただいて、私たちのほうで計算しました。シーズンによって変動があるので、ハイシーズンでこれくらい、ローシーズンでこれくらいと金額をご提示して、じゃあ、これぐらいですねとお互い納得することができました。

 

白坂 それまでは、だいたいこれぐらいかなと思っていたのが、明確に知ることができて、よかったです。

 

――身内や関係者から反対の声はあがりませんでしたか?

白坂 父は後押ししてくれました。しかし、行政書士さんや会計士さんなど、お世話になっている周りの方は心配そうでした。EC事業のみの譲渡を経験した人が周囲におらず、「売っちゃったらおしまいでしょ?」と言われ続けました。

 

――どのようにその不安を払拭されていったのでしょうか?

白坂 「やめろ」と言われる度に矢追様に相談して、「いつも」さんと一緒になろうと思い直し、結果を関係者に報告する。「それでいいの?」。この繰り返しでした。それでも最終的に私が決断できたのは、矢追様の人柄だと思います。物腰柔らかで何でも相談に乗ってくれ、本当に頼りになりました。

 

矢追 最初はとんとん拍子で話が進んだのですが、1カ月くらい停滞することがありました。白坂様にお聞きしたところ、「悩んでいます」と正直にお話しくださいました。その後、解決に向けて2カ月くらいかけ、コミュニケーションを地道に行うことに専念しました。出会って数カ月、数回しか会っていない人を本当に信頼できるのか? それはその通りです。そういった疑問を解消するためにも、頻繁に白坂様の元に通いました。「私たちは決して逃げませんよ。一緒にやりますと皆さんに伝えてください」とお話ししました。M&Aでは信頼関係はもっとも大事ですので、必要な時間だったと思います。

 

手厚いサポートがビズリーチ・サクシードの魅

――ビズリーチ・サクシードを使うことのメリットを教えてください。

白坂 登録しているだけで、いろいろな会社様からお声がけいただけることが大きいです。店舗にいるだけでは、M&Aの情報が入ってくることなどありませんから。

 

矢追 2点あります。ひとつは案件の話を多くいただけること。複数のM&Aプラットフォームに登録していますが、ビズリーチ・サクシードの数と質は明らかに高い水準を維持しています。もうひとつはフォローアップが手厚いことです。担当の方が週1回ほど電話をくれ「これ、大丈夫ですか?」と確認してくれます。私以外のメンバーが連絡しても丁寧に回答してくれるので、安心感があります。また、譲渡企業は基本的にM&Aには不慣れですから、先方へのケアも含めたフォローアップも助かります。

 

――新しい体制になって1カ月ですね。

矢追 ホームページでの写真や広告の使い方などのアドバイスをさっそく始めています。チャットツールなどを使いながら遠隔でもしっかりご支援できていると思います。生花は母の日商戦など季節性が高いビジネスです。売りたいのに生産量の限界が出てしまうこともあります。それらを早急に解決していきたいですね。

 

白坂 だいぶ視界が開けました。ECについては、僕は写真撮影だけでいいのでずいぶんと楽になりましたね。売却金もあるので、資金面でも余裕をもって取り組めるようになりました。今後はアレンジメントのベストセラー商品を伸ばすだけでなく、通年の商品開発やブーケやブライダルなどの商材も増やして、もっとこんなデザインもできるということをお客様に見せていきたいですね。

 

 

――矢追様は白坂花店のある高松を度々訪れるなかで、新たなアイディアを思いつかれたそうですね。

矢追 この地域は花屋さんが多いように感じます。生産量の限界について言えば、たとえば、地域の方と協業するのもひとつの解決策になるかもしれません。地域貢献もできるし、私たちとしてもプラスアルファになります。

 

譲渡企業様に寄り添いながら最善の道を探

――「いつも」様は「M&A経営」を事業戦略に掲げています。譲渡を考えられている企業様に伝えたいことはどんなことでしょうか?

矢追 M&A部門は当社として優先順位が高い事業です。担当する人材採用も急ピッチで進めています。今後数年間のM&Aの目標は200ブランドです。短期的には2022年3月までに25ブランドを予定しています。

M&Aは怖いと思われている方がいらっしゃるかもしれません。しかしM&Aは手段でしかありません。まずは何をしたいかをお話しください。私たちは寄り添いながらその内容に対してベストの方策をお出しします。「こんなこともできるんですか?」というシンプルな質問で大丈夫です。白坂様とも、元々の話と全く違う着地になったことからもわかるように、ご相談のなかから最善の道を一緒に探していきます。

 

――白坂様、M&Aを検討されている譲渡オーナーの方へのメッセージがあればお願いします。

白坂 矢追様が提案してくださった内容は、すごいいいお話だったので、乗ってよかったです。非常に大きな決断なので、何度も迷いましたが。でも、新たな決断と思って挑戦してみるのもありだと思います。